AIを活用して家計管理を効率化したいと考えているものの、「プログラミングって難しそう」「自分にできるのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、プログラミング初心者である私が、Pythonと生成AIを組み合わせてレシートの内容を自動で読み取り、Excelに出力する家計簿システムを作成しようと試みた体験を、失敗と成功の両面から余すことなく紹介します。
結論として、最終的な完成には至りませんでしたが、初心者であっても生成AIを活用した実用的なツール開発に挑戦できることを実感しました。その過程は、自分にとって大きな学びと気づきの連続であり、これからAIを使った開発に挑戦してみたい方にとっても参考になると確信しています。
① Python初心者が家計簿AIエージェントに挑戦した理由と背景
私は、HTMLとCSSを少しだけ触ったことがある程度の、完全なプログラミング初心者です。そんな私がAIを使ったシステム開発に挑戦した理由は、大きく2つあります。
1つは、毎月家計簿をつけるのが大変だと感じている妻の負担を少しでも軽くしたいという思い。そしてもう1つは、生成AIという最先端技術に魅力を感じ、「自分でもAIを活用して何かを作れたら面白いのではないか」という好奇心です。
家族の生活をより良くしたいという動機と、AIの可能性に対する興味が重なり、今回のプロジェクトがスタートしました。
② Tesseract OCRによるレシート読取と数々のエラーとの格闘
まず取り組んだのは、レシート画像から文字を抽出するOCR処理です。使用したのは、Googleが開発したオープンソースのOCRエンジン「Tesseract」。Pythonで画像ファイルを読み込み、日本語を認識して文字を抽出するコードを作成しました。
しかし、ここで多数のエラーに直面しました。特に多かったのは、日本語の言語ファイルであるjpn.traineddata
が正しい場所に存在しない、あるいは環境変数TESSDATA_PREFIX
が正しく設定されていないというものです。何度もエラーメッセージとにらめっこしながら、環境構築の重要性や、パス設定の基本を少しずつ理解していきました。
③ OpenAI APIとの接続と構造化処理で乗り越えた壁
OCRで読み取った日本語テキストを、家計簿として扱えるように整えるため、OpenAIのGPTを使ってテキストを構造化する処理に挑戦しました。自然文を解析して、Pythonのリスト形式に変換するという処理をAPIを通じて行おうとしたのです。
しかし、ここでも「model_not_found」エラーや「quota exceeded」などのエラーに何度も阻まれました。APIキーが正しくても、使用できないモデルを指定していたり、プランの上限を超えてしまったりすることが原因でした。
最終的に、gpt-4
ではなくgpt-3.5-turbo
を使うことで回避し、安定して構造化データを取得できるようになりました。この過程で、APIの使い方やプランの制限、モデル指定の重要性なども学ぶことができました。
④ Excel出力を目前にして立ちはだかった現実の壁
構造化されたデータをExcelに出力するステップでは、Pythonのopenpyxl
というライブラリを用いて処理を組んでいました。コード自体は完成しており、準備は万端という状況でした。
しかし、OpenAI APIの使用制限によって肝心のデータを安定して取得できないという問題に直面し、このステップには到達できませんでした。レスポンスが不完全だったり、予期せぬエラーで処理が中断されたりと、外部サービスへの依存が大きな壁となったのです。
それでも、この工程に必要な知識や手順は一通り理解できており、問題が解決し次第、すぐにでも動作検証を行える状態にあることは、自信と希望につながりました。
⑤ 挑戦して分かった学びと、これからの可能性
今回の挑戦を通じて最も強く感じたことは、「初心者であっても、しっかりAIと対話し調べながら少しずつ手を動かしていけば、AIを使ったツールは確かに作れる」という実感です。
まだ完全な完成には至っていませんが、自分の力で仕組みを作っていく過程がとても面白く、今後さらに精度の高いOCRや、Webアプリ化、音声入力との連携などもやってみたいと思うようになりました。
AIが急速に普及するこれからの時代において、こうしたスキルは確実に自分の武器になります。
⑥ まとめと、未来への一歩を踏み出す勇気
この記事では、プログラミング初心者である私が、Pythonと生成AIを使って家計簿を自動化しようとしたプロジェクトの全体像と、その中で得た学びや苦労、そして感動をできる限り丁寧に紹介しました。
TesseractによるOCR、OpenAIのAPI接続、そしてExcel出力までの挑戦――一見すると難しそうな工程でも、一つ一つ調べながら進めれば、初心者でも十分にチャレンジ可能です。
何より、自分でツールを作ることで「AIは遠い未来の技術ではなく、自分の生活を支えてくれる現実の力」だと実感することができました。
今から始めれば、きっと未来の自分の可能性を大きく広げることができるはずです。この記事を読んで少しでも興味を持った方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。